教師になる
気がつくと女子校勤務



 専任教諭として勤務するまであと2週間ほどだ。


 意外に思われるかもしれないが、私が教員になろうと考え始めたのは結構早い。
 中学生の頃には漠然と教員か技術職かのどちらかになるのだろうと思っていた。
 そしてそれより以前の私には『なりたい職業』というものはなかった。

 保育園に通っていた頃でさえ「大きくなったら何になりたい?」という問いに答えられなかった。
 野球選手、医者、宇宙飛行士と周りの子供が口々に言う中、私一人が何も言えなかったことを今も覚えている。

 中学校に入り、生涯で初めて意識した職業がそのまま自分のものとなったことを考えると私はかなり幸せなんだろうと思う。


 そのころ考えていた教師の像の中には『私立』という言葉は存在していなかった。
 私にとって学校とは公立のことであったし、私立とは一部の子供だけが行くものであったからだ。

 高校に入る頃にはさすがにそんな偏見はなくなっていたが、やはり私の中に私立という言葉が大きくなることはなく、結果として小学校から大学まで私立を経験することなく学業を終えることになった。

 そんな私が私立の学校、しかも女子校で働くのだから人生とは不思議なものだ。


 教員採用試験の勉強にはげんでいた、大学最終学年の4月。
 その頃の私に、今の私の近況を報告したらなんと言うだろうか。
 きっと「嘘だろ。」と断定されるに違いない。
 当時の私には公立高校の教員採用試験しか見えていなかったはずだから。

 あれから3年、自分でも「ありえない」と思っていたことがもうすぐ現実になる。
 「嫌だ」という気持ちはまったくない。
 あるのは、知らないことや新しいことへの恐怖と期待。


 あと半月。

 この気持ちから目をそらさず、正面から向き合っていこうと思う。


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