ある玩具店での社訓
私たちが売っているのは「おもちゃ」ではなく「夢と希望」です



 この話は私がとある研修に参加したとき、司会者本人の体験談として聞いたものである。(2005年3月23日の日記参照)話としてはいい話だと思うし、聞く人や話す人の雰囲気によっては感動するかもしれない。
 しかし、司会者本人の体験談として聞かされたこの話を、私は過去にどこかで聞いて(読んで)いる。これからの話を読んだ上で、自分も聞いたことがある方、もしくは出典をご存知の方は是非、掲示板にその旨を書き込んでいただきたい。




 これは、私が実際に経験した話です。
 私には今、2人の子供がいます。一人はもうすぐ小学校に入学する娘、もう一人は3歳の息子です。上の娘は、そろそろサンタクロースに疑いを持ち始める歳でした。去年のクリスマス、私は娘にサンタクロースを信じる純粋な心を保っておいてほしいと、二人が寝静まってから枕元にプレゼントを置こうと準備していました。
 子供たち2人はサンタクロースを見ようと、――娘はプレゼントをくれるのがサンタなのか、私たち両親なのか確かめようとしていたのかもしれません。――遅くまで起きていました。しかし、やはり子供に夜更かしというのは難しいものです。10時を過ぎる頃、2人のまぶたは完全に閉じてしまいました。


 次の日の朝、息子の枕元にはとある戦隊物の合体ロボット、娘の枕元には子供用のおもちゃのコンピュータが置かれていました。喜ぶ子供たちを前に、私は言いました。
「サンタさん、いいものをくれたな。でも、来年もプレゼントがもらえるように、遊ぶのは朝ごはんが終わってからにしような。」
 子供たちはすぐに着替えて食卓まで走ってきました。早くおもちゃで遊びたいという気持ちが全身にあらわれ、食事中も落ち着きがありません。食事を済ませて、さっそく子供たちはおもちゃの箱を開けます。息子は早くもロボットを合体させたり変形させたりして遊んでいます。しかし、娘のパソコンはそうもいきません。箱から出して、簡単に説明書を読んでコンセントを差込み、ようやくスイッチを入れます。そのとき、問題が起こったのです。
















スイッチが入らないのです。


 急いで、コンセントを確認して説明書も読み返します。しかし何度電源のスイッチを操作しても、スイッチは入りませんでした。

 娘の目には涙がたまり始めています。娘をあやすのは女房に任せて、私はそのおもちゃのパソコンを買った店、ある大手のおもちゃ屋さんへ電話してみました。
「先日そちらで買った○○という製品ですが、説明書のとおりに操作をしても、電源が入らないのですが。」
 極力、相手の機嫌を損ねないように私は細心の注意を払ってその旨を説明しました。しかし、クリスマスという繁忙期の中、同じような電話が数多くかかってきていたのでしょう。応対した店員はぶっきらぼうにこう言いました。



「ああ、不良品ですね。それについてはメーカーのほうに言ってください。」



 ショックを受けました。いくらメーカーに責任があるとはいえ、いくら同様の電話が数多くかかっているであろうとはいえ、もう少し言い方というものがあるのではないかと思いました。
 しかし、まずは娘のおもちゃを何とかするほうが先決です。説明書からメーカーのサポート窓口の電話番号を調べて電話をしてみました。

 つながりませんでした。

 今日はクリスマスです。数多くのおもちゃを製作しているその会社には、おそらく全国から同じような電話がかかっているのでしょう。電話中を示す発信音か、「電話が込み合っている」というメッセージしか流れません。
 私は諦めず、30分に一回くらいの割合で電話を続けました。しかし、ついにつながることはなく、サポートの終わる夕方の5時になってしまいました。





 娘は泣いてこそいませんが、まだ立ち直っておらず膝を抱えたままです。私は諦めきれず、もう一度だけ購入したおもちゃ屋さんに電話をかけてみました。
 朝、電話した時に応対した方と多分同じ人がもう一度出ました。答えも同じようなものでした。そこで、私は苦情を言いたいわけではないと説明して、そちらの店長さんに電話を代わっていただくようにお願いしました。
 電話に出てくださった店長さんに私はこう言いました。

「クリスマスのお忙しい中、大変恐れ入ります。購入したものの交換などについては後日メーカーに問い合わせます。今回のお電話はそういうことではないんです。店長さんにどうしても聞いていただきたいことがあって電話に出ていただいたんです。
 私たちがそちらのお店で買ったものは、おもちゃではないんです。私たちは、サンタクロースを信じる子供のために、おもちゃを買ったんです。子供たちの、サンタクロースがいるという夢と希望にお金を払ったんです
 今、お忙しいのは重々承知しています。しかし、忙しくてもこのことだけは、どうか、どうか忘れないでください。私たちは、子供の夢と希望にお金を払っているんです。」






 しばらく待ってみましたが、店長さんが何も言う様子はないので私は「失礼します」と言って受話器を置きました。そして、考えました。娘になんと言えばいいだろうと。何を言えば、何をすれば夢を壊さずに納得させることが出来るだろうかと。

 分かりません。何をしても、貰ったおもちゃが壊れているという事実は変わりません。たとえ、新しく壊れていないものを買い与えても、それは私が買ったものでサンタが用意したものではありません。悩みました。



 そのとき、電話が鳴り出しました。



 出てみると、先程の店長さんからでした。店長さんは言いました。

「大変申し訳ありませんでした。お客様がお買いになった、○○という商品ですが人気商品のため当店には在庫がございませんでした。しかし、他の店舗には在庫がある可能性がございます。これから各店舗に連絡をして見つかり次第、ご自宅にお持ちしますので、しばらくお待ちください。」

 時刻は午後5時を過ぎています。たとえ在庫が見つかったとしても、今日中に家に届けることは不可能でしょう。しかし、私は「ひょっとしたら」という気持ちを捨て切れませんでした。













 娘には何も言わず、私は「ひょっとしたら」という気持ちのまま待ち続けました。
 6時になり、7時を回り、8時を過ぎた頃、


(やっぱりダメだったか。)


 私はようやく諦めることが出来ました。プレゼントを楽しみに昨日は遅くまで起きており、今日も早起きした子供たちはもう眠そうにしています。そろそろ寝かしつけようかと思ったそのとき、ドアのチャイムが鳴りました。








     ピンポーン






 おもちゃ屋さんが来たようです。私はある心配をして、子供たちを奥の部屋に行かせ店長さんを迎えました。







そこにはサンタクロースが立っていました。



 赤い服を着て、白いひげを生やし、大きな白い袋を持った店長さんは言いました。

「サンタクロースがプレゼントを持ってきました。」

 私は店長さんがスーツで来るものだと思っていました。だからこそ子供たちを奥に行かせたのです。店長さんが帰ったあと、子供たちに「サンタさんがちゃんとしたプレゼントを持ってきたよ。」と言ってプレゼントを渡すつもりだったのです。


「サンタさんが来たよ、こっちへおいで。」

 急いで子供たちを呼び寄せました。娘も息子も大喜びです。はしゃぐ娘の前に、店長さんはしゃがんで娘の目線に合わせてこう言いました。

「ごめんね。サンタさん、急いでて壊れたプレゼントを渡しちゃった。こっちが本当のプレゼントだよ。良い子にしていたら来年も来るから、それまでお父さんお母さんの言うことをよく聞くんだよ。」

 2人の子供の頭をなでるサンタの目はとても優しいものでした。私は2人をもう一度奥の部屋へ行かせ、店長さんに頭を下げました。







 サンタの顔から従業員の顔に戻った店長さんは言いました。

「私たちは忙しさにかまけて、おもちゃを売る人間として最も大切なことを忘れていました。お客様のお電話のおかげで私たちは大切なことを思い出しました。
 お客様が電話でおっしゃった「おもちゃを買いに来たのではなく、夢と希望を買いに来ている。」この言葉はわが社の社訓なのです。」





 心が濁っているのか、作られた話のような気がしてならない。実際にやっても『腰の低いクレーマー』でしかないような気がする。
 冒頭にも書いたとおり、出典を探しています。『聞いた気がする』というだけの情報でもこちらに書き込んでいただけると幸いです。


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