スキー合宿での出来事
ラジオ越しでのありがとう



2008年3月22日

 学校では3月下旬、高校1年の希望者100人くらいをスキー合宿に連れて行くという行事があります。いまどき珍しく、インストラクターには頼まず教員が生徒に教えるという伝統あるこの行事に私も引率の一員として参加しました。

 合宿の夜、教員は楽しむためと翌日の講習の準備の為に、ナイタースキーに行きます。一連の出来事の発端はリフトに乗っているときに起こりました。

「あ!」
「あれ!?」


 私と、隣に乗っていた先生は同時に気付きました。リフトの下を滑っていたスノーボーダーがちょうど私たちの真下で財布を落として行ったのです。そのボーダーは財布にまったく気付かず滑っていってしまいました。声をかけようにも滑っていくボーダーはすでにはるか遠く、声が届く距離ではありません。

「仕方ないから降りるときに拾って、リフト係の人に届けよう。」

 2人で探しに行き、私が拾ってリフト乗り場の人に届けました。





 拾った私たちは終わったつもりでいたのですが、これで終わりではなかったのです。





 2回ほど滑ってリフトに乗っているときに放送が入りました。

「神奈川県からお越しの○○○○様、お伝えしたいことがございますので、ゲレンデ最下部××2階インフォメーションセンターにお越しください。」

 タイミングからして先ほどの財布のことだろうと分かりました。財布が届いていると放送すれば本人以外の誰かが盗りに来てしまうかもしれません。今後『お伝えしたいこと』という放送が入ったときは『財布の落し物』と変換して聞くことにしようなどと考えていたところ、一つ前のリフトにいる集団が騒ぎ始めました。よく見るとさっき財布を落としたボーダー


「おい!お前なにしたんだよ?」

「分かんねえ。全然心当たりねえよ。」

「何か落としたんじゃないのか?」

「だったら『落し物』っていうだろ(ゴソゴソ)‥‥‥あ!‥‥‥財布‥‥‥。

「落としたのか?!」

「(さらに前のリフトから)お〜い、今の放送結局なんだったんだ?」


「財布!マジショックでけ〜。」


 ショックがでかいのはこっちだ!
 彼らもまさか拾い主がすぐ後ろにいるとは思わなかったでしょう。隣の先生と笑いをこらえながらリフトを降ります。ボーダーたちが行ってから、口調を真似しながら一部始終を他の先生に伝える隣の先生。
 財布を落とした彼の放った一言「マジショックでけ〜」はその日の流行語大賞に選ばれました。





 これでも、まだ終わらなかったのです。





 このゲレンデでは、このスキー場限定のラジオ放送のようなことをしていて、スキー客からのリクエスト曲をかけたり、DJが投稿を読んだりしていました。

 あまり音楽には明るくないので、リフトに乗ったときの暇つぶしに耳を傾ける程度で、ほとんど聞き流していました。


「‥‥ナイターで財布‥‥‥」


 何か引っかかる単語が聞こえました。あれ?と思ったときにその投稿の最後の一文だけが聞き取れました。














「僕たちはこれからすぐに帰りますが、もし財布を拾ってくれた人がゲレンデにいたら、この放送を通じて『ありがとう』を言いたいです。」








その『ありがとう』確かに受け取りました!
(by 拾い主)


 かなり嬉しく感じました。





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